兵庫 神戸 遺産相続の相談が多い弁護士
弁護士法人中原綜合法律事務所〜遺産相続の法務相談室
父を介護したのは私、それでも父の「前妻の子」と遺産は「半分ずつ」の分配なの?11/24(火) 10:36配信 弁護士ドットコム、ニュースより抜粋ー「亡くなった父は、前妻との間にも子どもがいます。遺産相続はどうなるのでしょうか」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。【写真】縁切り神社のヤバすぎる絵馬相談者の父親は前妻と協議離婚し、母親と再婚した。父親と前妻の間には子どもが1人おり、その子が5歳のころに離婚が成立。それ以降、父親は前妻との間の子どもと疎遠になっていたという。相談者がそのことを知ったのは高校生のころだった。相談者は父親が亡くなるまで面倒を見て、最期を看取った。母親はすでに他界しており、相談者はひとりっ子だ。しかし、父親と前妻との間に子どもがいる。このような場合、遺産は2人の子どもで半分ずつになるのだろうか。相続に詳しい五十嵐里絵弁護士に聞いた。●遺産相続に物申したい際に利用できる制度「寄与分」――父親の面倒を見た相談者としては、半分ずつの相続に不満があるようです。一人で父親の介護をしてきたのに、何もしなかった前妻との子どもと半分ずつということではなかなか納得できないというご相談者さんの気持ちはよく理解できます。そこで、民法で定められた相続分にしたがって遺産を分けたのでは不公平だという場合には、「寄与分」という制度を利用することが考えられます。――どのような制度でしょうか。複数の相続人のうちの一部の人が、被相続人(今回は父親)に何らかの貢献をしていた場合に、その貢献した分を寄与分として認め、寄与分を認められた相続人はその分だけ多くの財産を相続することができるという制度です。きょうだいが同じように親の面倒をみているというケースの方が少ないと思うので、実際のケースでも寄与分はよく主張されます。●「寄与分が認められるハードルはなかなか高い」――寄与分の主張は容易に認められるものなのでしょうか。私の経験上、寄与分が認められることはあまり多くありません。寄与分が認められるのは、被相続人への「特別の寄与」があった場合なのですが、特別の寄与というのは、相続人と被相続人の関係から通常期待される程度を超える行為が必要とされているからです。たとえば、同居して食事の世話をする、買い物を手伝う、お見舞いや病院への送迎をするなどというのは、親子であればそれくらいはする、という範囲に入ってしまうので、特別の寄与にはなりません。他方、通常であればヘルパーを頼んで介護してもらう状態の親の面倒を見たので、ヘルパーに頼まずに済んだというような場合には、ヘルパーに払うはずだった費用は寄与分として認めましょう、という話になります。――今回のケースで寄与分は認められるのでしょうか。これまで述べたように、寄与分が認められるハードルはなかなか高いのですが、相談者さんの場合は、父親の要介護度や具体的な介護の内容によっては寄与分を認められることもあると思います。ただ、寄与分の存否についてゴリゴリ争うというのは、本格的に紛争に発展した場合だと思いますし、相続人全員が納得すれば法定相続分とは異なる分け方もできます。相談者さんの場合も、まずは前妻の子どもにこれまでの経過をわかってもらうよう話をしてみて、話し合いで解決できればいいですね。【取材協力弁護士】五十嵐 里絵(いがらし・りえ)弁護士新聞社に記者として勤務した後、法科大学院に進学、弁護士に。離婚・男女問題、遺産相続、企業法務を取り扱う。事務所名:辻山・五十嵐法律事務所事務所URL:http://www.tyig-law.jp
法務局に申請することで、自筆証書遺言書が保管できる制度が2020年7月10日より始まりました。これまでの問題点であった遺言書の紛失・改ざん等を解消することがこの制度の目的です。 【保管の申請先】いずれかの法務局管轄の遺言書保管所・遺言者の所在地・遺言者の本籍地・遺言者の所有する不動産の所在地 (法務省HPより抜粋) ♣遺言書の種類と「自筆証書遺言書」保管制度遺言書の代表的なものが、公正証書遺言と自筆証書遺言です。この自筆証書遺言書の保管制度の利用により、公正証書と同様に、本人による遺言書管理が不要、家庭裁判所の検認も不要となります。 公正証書遺言 自筆証書遺言 自筆証書遺言(保管制度利用)メリット ・公証人の助言を受けることが可能・紛失・改ざんのおそれなし・自力で字を書けない方も作成可能 ・いつでも作成可能・自由度高い・手数料かからない ・いつでも作成が可能・自由度が高い・法務局による書式の形式確認デメリット ・財産の価格に応じた手数料がかかる・その他費用発生 ・代筆不可・法令上の要件を満たしていないと紛争ももととなる・内容不備があると同じく紛争ももととなる ・代筆不可・内容に不備あると紛争のもととなる・手数料が必要(保管申請・閲覧等)原本の保管 公証役場が管理 遺言者本人が管理 法務局が管理家庭裁判所の検認 不要 必要 不要 ♣自筆証書遺言書保管制度のメリット☑遺言書の紛失や隠匿の防止になります☑遺言書の存在の把握が容易になります☑他人に遺言書を見られることがありません☑家庭裁判所の検認が不要です(速やかに手続きが進められます)具体的には・・〇遺言者にとってのメリット・遺言書の紛失防止・生存中は、遺言者以外の方による閲覧が不可能。 ⇒遺言書の廃棄・隠匿・改ざんを防止・保管している旨を家族に知らせることで、遺言書の存在を把握しておける。〇相続人等にとってのメリット・相続開始後、遺言書の内容を閲覧することが可能・相続人の一人が照会することにより、その他の相続関係者に遺言書の存在が通知される・遺言書の検認不要 ♣自筆証書遺言書保管制度の留意点1. 遺言書の書式が決まっている。 A4判。様式例は法務省サイトよりダウンロード可能2. 書式に決まりはあるが、内容については法務局による確認はされない。3. 保管申請の予約後、遺言者本人が直接遺言保管所に行くこと4. 遺言書の保管について通知がされるのは、相続開始後、相続人等が法務局へ照会をすることで実施される(相続人全てに対して)。よって、関係相続人のいずれかの方が閲覧等しなければ、相続開始後となっても遺言書の存在が知られないままとなってしまう可能性あり。5. 手数料を納める必要がある。申請・請求の種別 申請・請求者 手数料遺言書の保管の申請 遺言者 1通 3,900円遺言書の閲覧(モニター) 遺言者、関係相続人等 1回 1,400円遺言書の閲覧(原本) 遺言者、関係相続人等 1回 1,700円遺言書情報証明書 関係相続人等 1通 1,400円遺言書保管事実証明書 関係相続人等 1通 800円 ♣問題点前述の2、3にある通り、・本人が直接出向いての保管申請が必要で手間がかかる・遺言書の内容の確認まではされないため、内容が不明確な場合はトラブル発生の可能性があるという問題点があります。⇒これらは、公正証書遺言を利用することにより解消されます。 ♣公正証書遺言について〇当事務所では公正証書の遺言書作成の相談から遺言の執行までをトータルでサポートいたします。〇遺言書の作成と遺言の執行を依頼することにより、相続手続きをスムーズに実施していただくことが可能です。以下の流れでサポートします。1. 遺言者:公正証書、遺言書の作成・文案作成をサポート・対象となる財産や推定相続人・受遺者を明確化・公証役場にて遺言書を作成2. 相続人・受遺者:遺言の執行・ご指定通知人の方からご逝去の通知・連絡・速やかに遺言書の内容を相続人・受遺者へ説明・遺言執行者として就任後、遺言書の内容に沿って相続手続き、相続人等へ報告しあわせ相続センターHPより抜粋
ー2020年11月18日 10時15分 幻冬舎ゴールドオンラインから抜粋ー妹「4000万円の現金」兄「10億円の不動産」…得したのは?本記事は森田義男氏の著作『相続税を減らす不動産相続の極意』より一部を抜粋、再編集したものです。今日の遺産分割では、皆が金融資産を希望遺産分割に際して忘れてならないのは、不動産と金融資産では圧倒的に金融資産が好まれるという点です。理由は不動産(たとえば自宅や収益用不動産)がおいそれと換金できないからです。さらに今日では、地価の上昇は期待できません。金融資産であれば、いつでも好きな金額を使うことができます。したがって、今日の遺産分割では皆が金融資産を欲しがります。その結果、不動産のほとんどを相続する一方、金融資産は納税資金と遺産分割で使い切った跡継ぎが、老親を抱えて質素極まる生活をしている、といったケースも少なくありません。広告ここで話を大きくしましょう。相続税を支払った後での「資産10億円の本家」を継いだ兄と、税引き後で4000万円の預金のみを取得した妹がいます。ともするとこの妹は、「兄は私の25倍の資産を相続してうらやましい」などと思っているかもしれません。しかしこの場合であれば、妹のほうがずっとうらやましい状況にあるように思います。皆が金融資産を欲しがる?(画像はイメージです/PIXTA)地価の上昇が期待できない土地は相続人の悩みの種に本家を継いだ以上は、兄の相続財産は広い自宅や賃借人のいる収益用不動産といった、現実的には売るわけにはいかない不動産がほとんどでしょう。おまけに金融資産は納税などでスッカラカン。多額の家賃・地代収入があるとしても、その大半はローンの返済や固定資産税等で消えてしまいます。本家としての体面や付き合いも必要ですし、やがて来るであろう自分の相続にも備えなければなりません。何と言っても、親族その他の「周りの目」があります。好き勝手な生活などおよぶべくもありません。結局は従来どおり「質素一筋」の生活を続けるしかなくなってしまいます。それでも昔のように地価の上昇が期待できるのであれば、将来的な楽しみもあるというものです。しかし、地価は今後下落傾向が続くと予想されています。所有する多くの土地はむしろ悩みの種なのです。一方の妹には、好き勝手に使うことができる4000万円もの大金が転がり込みました。その使い道に目を光らせるような親戚筋もありません。その気になれば相応の贅沢も可能となりましょう。まさにうらやましい限りです。いずれにしても、不動産に比べての金融資産の優位性は、確固たるものがあるように思います。したがって地主層の資産構成にあっては、一部の不要不動産の売却等により、金融資産もある程度の割合で保有すべきことを強くお勧めしておきたいと思います。中古の建物の市場価値は、驚くべきペースで下落する不動産等の資産価値を考える際には、それがどの程度の換金性を有しているかの検討は重要性が高いと言えるでしょう。通常の更地であれば、換金にはさほど苦労はしないはずです。ただし、いくらで売れるかに関して確定的なことは言えません。500万円分だけ売りたいというわけにもいきません。ついでに言えば、売却には仲介手数料といった諸経費もかかりますし、譲渡所得税の問題もあります。ただし売却自体はそう難しいわけではありません。しかし、こうした最も換金性の高い更地との比較を考えれば、預金(しかもこれは税引き後の資産)がいかに有利であるかがおわかりいただけるでしょう。では、建物付きの土地はどうでしょうか。一例として、そこには20年前に3000万円で建てた自宅があるとします。この場合に問題となるのは建物の売れる値段です。結論を言えば20年も経過している建物の市場価値はほぼゼロとされています。しかし、この建物は物理的に見てもまだ20年は十分使えるでしょう。さらに所有者・売主にしてみれば、主観的には2000万円程度の使用価値はあると思っているのかもしれません。ただ、これを売りに出せばほぼゼロ。買主から「取り壊して、更地渡しにしてくれ」などと言われようものなら、むしろ取り壊し費用の分がマイナスとなってしまいます。築後20年でゼロと言われることからもわかるように、中古の建物の市場価値は驚くほど速いペースで下落していきます。つまりこうした土地建物に関しては、建物に感じていた資産価値の大半をあきらめなければ売却できないことになります。相続税評価は市場価値と乖離した「建前的」な評価次にアパートです。この場合にはアパートの収益性が売値の水準を決めます。一般に「土地を遊ばせておくよりも・・・」といった流れで建てられたアパートの収益性はあまり期待できません。そうであれば「更地価格+建築費」の額の半値に近いものにもなりかねません。となればこの水準では、とても売る気にはならないでしょう。つまりアパートを建ててしまえば、その土地建物には流通性がほぼなくなってしまうわけです。今度は共有を考えます。これがウマの合わない人との共有物であれば、流通性抜群の更地であっても、その換金性に関しては相当のリスクがあります。一緒に売りたいと言っても拒否される可能性が高いからです。むろん共有持ち分などは誰も買ってくれません。ただし円満な身内との共有であればノープロブレムです。借地権と底地の関係は、先のウマの合わない人との共有関係と同じと言っていいでしょう。つまり、地主の所有する底地は換金性がほとんどありません。こうした換金性の欠如は、本来の資産価値に極めて大きな影を落とします。いろいろ述べてきましたが、肝心の相続税評価は何を評価しようとしているのでしょうか。その結論はズバリ市場価値です。したがって、たとえば相続財産の評価額が2億円であったとすると、それは2億円の預金があったと同じと考えているわけです。そうであれば、今にも2億円で売れる土地でなければ、「話が違う」となってしまうでしょう。ところが実際の相続税評価はまったく違っています。土地の換金性の問題など何ら考えていません。アパートの収益性がどうであろうが、どのような共有関係であろうが、借地権・底地であろうが、他人の抵当権がついていようがおかまいなし。それらを一切無視した上での建前的な評価となっているのです。
兄弟トラブルになる前に。遺産相続の割合や揉めないための対策をFPが徹底解説!ーマネタスより引用ー親の遺産をめぐって起こりがちな兄弟トラブル。それまで仲が良かった兄弟でも、財産の話が絡むと確執が生じることもあります。本記事では、相続が発生すると、なぜ兄弟間で争いになるのかを説明します。将来揉め事にならないよう、あらかじめできる対策も知っておきましょう。父母の遺産に対して兄弟が持つ権利は同じ父母の遺産に対して兄弟が持つ権利は同じ父母が亡くなったとき、その子供は全員相続権を持ちます。兄弟がいれば、兄弟間では公平に財産を分けるのが原則です。相続人の順位と割合法律上相続人になる人は、配偶者(夫・妻)と血族(子供、父母、兄弟姉妹)です。配偶者はどんな場合にも相続人ですが、血族については優先順位があり、(1)子供、(2)父母、(3)兄弟姉妹となっています。相続できる財産の割合は、配偶者と一緒にどの血族が相続人になるかで次のように変わります。配偶者と子供・・・配偶者1/2、子供1/2配偶者と父母・・・配偶者2/3、父母1/3配偶者と兄弟姉妹・・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4兄弟間では権利は平等子供は第1順位なので、死亡した人に子供がいれば必ず相続人になります。子供が複数いる場合、子供と子供の間には権利の差はありません。子供は皆相続人となり、取得できる財産の割合(相続分)も同じになります。たとえば、父親が亡くなり、母親と子供(姉、妹)で財産を相続する場合、母親の相続分は2分の1、子供の相続分は姉も妹も4分の1ずつです。親の財産を相続する兄弟の定義は?親の財産を相続する兄弟の定義は?家族でなくても、亡くなった親と法律上の親子関係がある兄弟姉妹がいることがあります。家族でなくても法律上の血縁関係があれば、遺産相続に巻き込まなければなりません。養子にも実子と同じ権利がある亡くなった親に養子がいることがあります。養子縁組とは法律上の親子関係を発生させる手続きなので、養子は法律上れっきとした子供です。子供の中に親の養子がいれば、実子と同様に相続人になります。この場合には、養子も含めた兄弟間で平等に財産を分ける必要があるということです。異母兄弟・異父兄弟も相続人に親が再婚している場合など、異母兄弟や異父兄弟がいることがあります。異母兄弟や異父兄弟も、死亡した親の子である以上、相続人になります。相続分も他の兄弟と変わりません。異母兄弟や異父兄弟がいるけれど、会ったこともないという人も多いでしょう。しかし、相続の場面では関わらざるを得ないことがあります。兄弟の中に非嫡出子がいる場合非嫡出子とは、結婚していない男女の間にできた子供です。これに対し、結婚している男女の間にできた子供は嫡出子と呼ばれます。死亡した父親が愛人との間に子供を設けている場合、父親が認知をしていればその子供は非嫡出子となり、父親の子供として相続権を持ちます。嫡出子と非嫡出子とは、以前は相続分が違いました。法改正により現在では、嫡出子と非嫡出子の相続分には差がなくなっています。父親が認知していない場合父親と愛人との間に子供ができているけれど、父親が認知していない場合には、法律上の親子関係は発生しません。たとえ生物学上は親子であっても、その子供は父親の相続権を持たないことになります。遺産を相続するまでの流れ遺産を相続するまでの流れ親が死亡した後、相続手続きをする際の大まかな流れは次のとおりです。1. 戸籍謄本を集める相続手続きを行うためには、戸籍謄本を揃える必要があります。戸籍謄本を確認することで、相続人が誰であるのかを確定することもできます。戸籍謄本を集めるときには、被相続人の出生から死亡までの戸籍はもちろん、相続人とのつながりがわかる戸籍もすべて取り寄せなければなりません。相続に必要な戸籍謄本は一般に数が多く、自分で揃えるには手間がかかります。相続手続きを依頼するなら、戸籍謄本の収集の段階から行政書士・司法書士などの専門家に依頼すると良いでしょう。戸籍謄本を集めている過程で、それまで知らなかった異母兄弟や異父兄弟が出てくることがあります。この場合には、異母兄弟や異父兄弟にも連絡をとって相続手続きを進めなければなりません。2. 遺産の内容をリストアップ相続財産を明確にします。どのような財産があるかわからない場合には、被相続人の自宅などを探して手がかりになるものを見つけます。預貯金がある場合には金融機関で残高証明書を発行してもらい、不動産がある場合には法務局で登記事項証明書を取得しておきます。3. 相続人全員で遺産分割協議相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をもらうか、どういう比率で分けるかなどを話し合います。話し合いは皆が集まって行う必要はありません。電話や手紙のやりとりでも、全員の意思確認ができればOKです。分配方法が決まったら、遺産分割協議書を作成します。話し合いに参加してくれない人がいる場合や、財産の分け方で全員の意見が一致しない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停(または遺産分割審判)を申し立てて解決を図ることができます。4. 財産の名義変更手続き遺産分割協議で決まった内容に沿って、財産の名義変更手続きを行います。預貯金については金融機関で払い戻しまたは預け替えをし、不動産については法務局で相続登記をします。兄弟の相続でよくあるトラブル兄弟の相続でよくあるトラブル親の財産を兄弟で相続するときには、どういったことでトラブルが生じるのかを知っておきましょう。不動産の遺産分割方法が決まらない遺産として土地や建物といった不動産がある場合には、兄弟間で揉めてしまいがちです。不動産というのは動かせるものではなく、バラバラに分けられるようなものでもないからです。たとえば、亡くなった親名義の家に同居していた子供がいれば、当然家を相続したいでしょう。しかし、一人が家を相続すると、他の兄弟が相続するものがなくなってしまうことがあります。親の介護をした人が多くもらえるわけではない子供の頃は一緒に育った兄弟姉妹でも、大人になると親とのかかわり方は同じではないでしょう。平等に配分すると、かえって不公平に感じることもあります。たとえば、妹は親と同居して親の介護をしていたけれど、姉は家を出て年に1回くらいしか実家には戻ってこなかったということもあります。このような場合、親の介護をしていた妹はその分財産を多くもらいたいと思うこともあるでしょう。一方の姉は、自分にも権利があるのならその分は確保したいと言うかもしれません。そういったところから確執が生じやすくなります。親の介護で寄与分は認められる?被相続人に特別の寄与をした人を優遇する「寄与分」という制度も民法上用意されています。親子間には相互に扶養義務があるので、介護をするのはある意味当然のこととも考えられます。裁判所を通して遺産分割する場合でも、親の介護をしただけでは寄与分は認められにくいのが現状です。親から生前贈与を受けている人がいる場合も子供の中に、親からお金の面で援助を受けていた人がいる場合もあります。親からの援助が民法上の「特別受益」に該当すれば、遺産分割の際にその特別受益を遺産に加算し、特別受益者はその分は受け取ったものとして遺産分割することが認められています。結婚の際の持参金や留学費用などが特別受益に当たることが多いですが、明確でないものや証拠がないものなどもあり、争いになりがちです。兄弟で不動産を分けるときの注意点兄弟で不動産を分けるときの注意点相続した親の不動産を分けるときには、トラブルにならないよう分け方に気を付ける必要があります。遺産分割の方法は3種類まず、遺産分割の方法としてどんな方法があるのかを知っておきましょう。一般には、次の3種類の方法のいずれかで決めることになります。現物分割財産の現物をそのまま分ける方法です。たとえば、遺産として土地・建物と預貯金があり、長男と次男が相続人である場合に、長男が土地・建物、次男が預貯金という形で分けるのが現物分割です。換価分割遺産を売却してお金に換えてから分ける方法です。たとえば、遺産が自宅の土地・建物のみの場合、一人が自宅をもらうと、他の人がもらうものがなくなります。このような場合、自宅を売却してお金に換え、お金を相続人全員で分ければスッキリ分けられます。代償分割財産を取得した人が他の相続人にお金(代償金)を払って、相続により得た財産額が公平になるように調整する方法です。たとえば、遺産が自宅の土地・建物のみで、一人がどうしても自宅がほしいという場合には、他の相続人に代償金を払うことで承諾を得てもかまいません。土地や建物を共有にしない不動産は持分を設定して共有にすることができます。不動産を物理的に分けることはできなくても、共有にして各相続人の権利を確保することは可能です。しかし、不動産の分け方が決まらないという理由で共有にするのは、できるだけ避けた方が無難です。共有の不動産にはトラブルも多いので、問題を先送りにしてしまうにすぎません。共有にした場合のトラブルとは?土地や建物を共有にすると、簡単に売れなくなってしまいます。不動産を売却等して処分したい場合には、共有者全員の合意が必要です。一人が土地を売りたいと言っても、他の人が売りたくないと言えば、その土地は売れないことになります。土地の持分を売却することは可能ですが、特別な事情がない限り、土地の持分だけを購入したいという人はいないでしょう。また、共有者のうちの誰かが亡くなった場合には、亡くなった人の相続人が持分を相続することになり、不動産の共有者が増えてしまうという問題もあります。権利関係が複雑になれば、ますます全員の合意が難しくなってしまうでしょう。分け方によって税金が変わる遺産の分け方の違いで、税金にも差が出ることがあります。土地を誰がもらうかで相続税が変わる相続税を計算するときには、土地の評価額を出さなければなりません。被相続人の自宅の土地については小規模宅地等の特例が適用になり、評価額を8割減額できる場合があります。小規模宅地等の特例は、誰がその土地を取得するかによって適用の可否が分かれます。たとえば、親と同居していた人が自宅の土地を相続した場合には適用されますが、親と同居していた人がいるにもかかわらず他の人が土地を相続した場合には適用されません。評価額を8割減額できるかどうかは大きな問題です。兄弟の誰が自宅の土地をもらうかで、税金の金額が変わる可能性も視野に入れておきましょう。換価分割では譲渡所得税に注意換価分割を行った場合、譲渡所得が発生していれば譲渡所得税の課税対象となり、相続人全員に譲渡所得税がかかります。マイホームを売却して譲渡所得が発生した場合には、3,000万円の特別控除が受けられ、税金の負担が軽くなります。相続した親の自宅を売却した場合、親と同居していた相続人については3,000万円の特別控除が受けられます。一方、親と別居していた相続人は特別控除が受けられません。兄弟で平等に分けたつもりでも、手元に残る金額に差が出ることがあります。遺言で相続トラブルを防ぐ遺言で相続トラブルを防ぐ親の死後の兄弟トラブルを防止するために、親に遺言書を書いておいてもらう方法があります。親に遺言書を作成してもらおう被相続人が遺言書を残している場合、被相続人の意思を尊重して、法定相続よりも遺言が優先することになっています。親に遺言書を用意しておいてもらえば、兄弟間で遺産分割協議をする必要もありません。親の希望だからと言うことで、兄弟全員が納得する可能性もあります。兄弟の遺留分に気を付けておく親に遺言書を書いてもらうときには、遺留分に注意しておかなければなりません。遺留分とは遺言の内容にかかわらず確保できる最低限の取り分です。子供が親の相続人になる場合には、子供は皆遺留分を持ちます。子供の遺留分は次のとおりです。出典:https://manetasu.jpたとえば、父親が既に亡くなっており、母親の財産を兄弟3人で相続する場合、1人あたりの遺留分は4分の1を3人で割った12分の1です。兄弟全員が少なくとも12分の1の財産を取得できるように、母親に遺言を書いてもらう必要があります。相続における兄弟トラブルに関するまとめ親が亡くなったとき、遺産に対して兄弟が持つ権利は平等です。不満を持つ人が現れないよう、全員の権利に配慮しながら遺産を分配する必要があります。将来、遺産相続で兄弟トラブルになることが予想されるなら、親に遺言を書いてもらう方法も検討しましょう。
マネタス(manetasu)はお金に関する疑問を専門家がわかりやすく解説するメディアです。初心者でも始めやすいiDeCoやつみたてNISAを初め、結婚や出産…
「名義変更」していないとヤバイことになる! 夫婦ふたりで事前にやっておかないと、残された側に大きな負担がかかってしまうのが名義変更の手続きだ。 そのままでは名義を変えられない預貯金口座については、生前に暦年贈与で相手に譲っておくことが、夫婦が元気な間にできる「名義変更」といえる。 一方、文字通りの名義が重要になるのが不動産だ。 代々受け継いでいる土地の場合、所有者の名義が昔死んだ両親や祖父母のままになっていることもある。 これを売却するには名義変更、いわゆる「相続登記」をしなければならないが、その前に相続人全員の戸籍謄本を集める必要がある。親族がたくさんいると、ひとりになった後で切り抜けるのは荷が重い。 「田舎の不動産は、自治体によっては固定資産税の請求がなく、存在に気づかないこともあります。 しかし、いつかは必ず遺産分割しなければならない。夫婦でお互いが知らない不動産がないか確認し、もしあるなら、親族間で誰が名義人になるか決めておかないと、いらない不動産を押しつけられることにもなりかねません」(税理士法人レディング代表・木下勇人氏)自動車、クレカのポイントはどうか…?夫婦がそろっているうちに必要な名義変更リスト 自動車は、相続するより生前に名義変更するほうがはるかに労力が少なくて済む。 相続する場合に必要となる戸籍謄本は不要。しかも、評価額が110万円以下の自動車には贈与税がかからない。よほどの高級車か新車でない限り、引っかかることはない。 盲点なのが、クレジットカードなどのポイント。そのままでは名義変更できないが、航空会社のマイルに変換することでできるようになる。 「ビックカメラなどの家電量販店のポイントはそのままでも名義変更できるので、どこのポイントをためているか夫婦で教え合っておくといいでしょう」(デジタル機器に詳しいライターの古田雄介氏) 伴侶の死後「あれも聞いておけばよかった」と悔やまないために、日ごろから些細なことも包み隠さず話しておくのが肝要だ。 『週刊現代』2020年10月3・10日号より